「何もしない」が、いちばん減点されてるかもしれない話
イベントの主催者席から見ていると、気になる相手がいるのにその一歩が出ないまま終わってしまう人が本当に多い。話術でもセンスでもなく、目の前のことだけの話です。
イベントをやっていると、主催者席からいろんなものが見えます。誰と誰が話しているか、誰が楽しそうか。そして——「この人、あの子のこと気になってるんだろうな」というのも、けっこう分かります。
でも、その一歩が出ないまま終わってしまうことが、本当に多いんです。
「待ってる」つもりが、「ただいる」になっている
よくあるのが、話しかけたい相手の近くにいるだけ、という状態。本人としてはタイミングを待っているんだと思います。空気を読んで、失礼にならないように、いい瞬間を探して。
ただ、正直に言うと——相手からは「近くにいるだけの人」に見えています。何を考えているか分からないので、ちょっと居心地が悪い。ここが難しいところで、何もしないことは「中立」ではないんです。減点されないつもりが、静かにマイナスが積まれていく。
難しいことじゃなくて、目の前のことです
じゃあ何をすればいいのか。話術とか、面白いことを言うとか、そういう話ではありません。もっと手前です。
たとえば、仕事帰りに集まるイベント。みんなお腹が空いている時間帯です。うちは「食べたければ頼んでね」というルールなので、無理に頼む必要はありません。でも実際のところ、女性は自分から料理を頼みにいくのが、けっこうやりにくい。だから男性が頼まないと、女性は食べられないまま終わってしまう。
ここで大事なのは、聞き方です。
「何か頼みますか?」だと、判断を相手に投げてしまっている。女性からすると「私だけ頼むのも……」となって、結局「大丈夫です」で終わりがちです。
そうじゃなくて——「俺、何か頼もうと思うんですけど、一緒にどうですか」。
これだけで、相手は乗るだけでよくなる。ハードルが自分の側に移ります。ドリンクも同じで、「なにか飲みます?」より「俺もう一杯いくんで、一緒に頼みません?」のほうが、ずっと乗りやすい。
しかもこれ、気配り以上の意味があります。「一緒に何かする」って、好意のサインなんです。女性が誰かに好意を持ったときにする行動のひとつが、まさにこれ。だから一緒に頼むという行為は、気を使うことと、好意を伝えることを、同時にやっている。分かりやすくて、押しつけがましくない。これ以上に効率のいい一手はなかなかありません。
もうひとつ。人に聞いてしまうという手
自分で決めなくてもいいんです。僕やスタッフに「何がうまいですか?」って聞いてくれれば、いくらでも答えます。
「これ美味しいですよ」「女の子はだいたいこれ頼みますね」——そういう話が出てくれば、隣にいる女性も自然に会話に入れます。「じゃあそれにしようかな」で、注文も会話も同時に片づく。
これ、一人で頑張らなくていいという話です。何を頼むか悩む必要も、気の利いた一言をひねり出す必要もない。その場にいる人を巻き込めばいい。
しかも副産物があります。スタッフに気軽に話しかけている人は、女性から見ると「この場に馴染んでいる人」に映ります。緊張して固まっている人の、ちょうど逆です。慣れているように見えるだけで、印象がずいぶん変わる。
聞くだけです。それも僕らは、聞かれたほうが嬉しい。
この数百円が効くのは、奢りだからじゃない
勘違いされやすいんですが、これはお金の話ではありません。声をかける口実として、これ以上ないほど自然だからです。
たとえば暑い日。店内の冷房も効ききらず、目の前の人のグラスが空いている。この状況では、声をかける理由が向こうから用意されている。相手も断りにくいし、断られたところで何も失わない。会話の入口が数百円で買えるなら、かなり効率がいいと思いませんか。
そしてここからが本題です。イベントの最後に「このあと少し飲みませんか」と誘うとき——さっき一緒に頼んでくれた人と、ずっと黙って座っていた人とでは、返事が全然違います。たとえその場で「自分で払います」と断られていたとしても、「気が利く人」という印象は残っている。次の一歩のハードルが、もう下がっているんです。
気配りは、才能じゃなくて観察です
グラスが空いている。何も食べていない。暑そうにしている。全部、見れば分かることです。特別なセンスはいりません。
だから「難しいからできない」ではないと思っています。たぶん、動いて失敗するのが怖いだけ。でも——動かないほうが、確実に失敗しているんです。
一言でいいんです。「俺も頼むんで、一緒にどうですか」。それだけで、その場の空気も、相手の印象も、そのあとの展開も変わります。
次にイベントに来るとき、ひとつだけ試してみてください。たぶん、想像しているよりずっと簡単です。
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